リン鉱石の輸入先について表を作ってみた感想

なんかもうデータが手に入ったからいいやという気分もしているが、感想を書くと書いてしまったので簡単に。
中国のシェアは確かにトップだが、予想通り8割とかいうことはなかった。というか過半にも達していない。2007年のリン鉱石輸入量に占める各国のシェアを表にするとこうなる。

中国 ベトナム イスラエル ヨルダン ロッコ 南ア 韓国
38.1 3.2 1.9 21.0 18.3 17.2 0.4

出典: 財務省貿易統計(2001〜2007)よりisikaribetu07が計算。

中国のシェアが8割に達するとかいう話ならば日本農業が壊滅するかもという気になるかもしれないが、このくらいであれば、短期的にはヨルダン、モロッコ、南アからの輸入量を増やすことで何とかなるような気がする。もちろんこの3国が輸出を絞らないという保証はないし、価格の上昇は避けられないだろうが。

ただし、当然ながら、中長期的には下水や鉄鉱スラグからのリンの回収や、施肥技術の改善によって*1リン肥料の輸入依存を解消していく必要はあるだろう*2。多少の時間的余裕はあるのではないか、といったところか。

価格という言葉が出たついでに、リン鉱石の価格を参考までに掲げておく。各国ごとに、財務省貿易統計にある年間輸入総額を年間輸入量で割った値である。すなわち、年あたりトン当たりの平均輸入価格ということになる(実際には輸入の度に価格が変動しているのだと思う)。

やはり中国のリン鉱石は安いようだ。ベトナムはさらに安いので、増産可能であれば今後はベトナムからの輸入が増加するのかもしれない(実際、2006から2007年で、輸入量が60tから22,942tに激増している)。

参考: りん鉱石の年別国別1tあたり平均輸入価格

中国 ベトナム イスラエル ヨルダン 米国 ロッコ 南ア
2001 9,339 no data 11,553 12,266 no data 10,115 11,211
2002 9,597 no data 11,767 12,524 35,796 10,007 11,355
2003 8,099 no data 10,695 12,110 35,354 8,992 12,005
2004 8,403 no data 14,297 12,511 37,181 9,164 14,996
2005 10,815 no data 16,322 14,199 no data 11,848 17,167
2006 12,801 12,917 16,489 16,327 no data 13,471 17,552
2007 15,037 12,969 18,281 19,194 no data 17,650 20,224

出典: 財務省貿易統計(2001〜2007)よりisikaribetu07が計算

*1:施用したリンが全て農作物に吸収されるわけではないだろう。施肥方法を工夫することによって吸収率を高めることができるのではないか、ということ。

*2:ここに有機肥料の活用ということを入れてもいいかもしれないが、日本全体というスケールで考えたときに、量的に充分供給可能か、といった点を懸念する。まあ、私がちょっと有機肥料というものに偏見があるのかもしれない。