『行きずりの街』がまた売れていたとは

はてなブックマークより。ブクマコメには収まらなさそうだったんで。

「91年度のこのミステリーがすごい! 第1位」

 こんなオビを新潮社が志水辰夫の『行きずりの街』(新潮文庫)につけたのは昨年末。94年に文庫化され、10年間で12万5000部が出て動きは止まっていたが、あれよあれよという間に売れ出した。郷里で塾を営む元教師が、かつて勤務した学校の暗部に迫るという10年以上前のミステリーが、1年で大ベストセラーともいえる50万部近くを売り、大きな話題になった。

既刊文庫、仕掛けて売れ オビ変えたら60万部

おお、そんなことになっていたのか。道理で書店にたくさん並んでいたわけだ。

志水辰夫はいいよねえ。まあ、合わない人は合わないだろうけど*1

『行きずりの街』の読後感が良かったなら、志水節とも言われる独特の文体に浸ることが心地よいと感じられたならば、ぜひ『飢えて狼』『裂けて海峡』『背いて故郷』『尋ねて雪か』などもどうぞ*2。……いかにも志水辰夫らしい言葉遣いのタイトルを並べてみたが、初見では「ええ、こういうタイトルもあり?」と思ったっけなあ。

この中では、たぶん一般的な評価はそれほど高くはないのだろうけれども、『尋ねて雪か』が一番印象に残っている。ストーリーよりも、雪深いうらぶれた街のイメージが。雪国で暮らしたことがある者の感傷の故かなあ。

*1:言わばオジサンの感傷というかロマン(赤面)なんでね。でも若い人でも面白く読める人はいると思う。私だって志水辰夫にハマった頃はまだ若かったんだし。

*2:実は昔のこととて内容はかなり忘れてしまったのだけれども。