続・冠詞云々について覚え書き

このエントリの続き。いやまあ、当たり前といえば当たり前の話なんだが、勢いで書いてしまったのでアップしておく。
小飼弾氏のエントリのブクマコメを読んでいると、冠詞のルールについて、高校までに習ったことを忘れている人もけっこういるように見える(私も忘れているところがある)。

小飼氏のエントリにはとくに文句はないのだが、id:adoratio氏が「学校で普通にそう習った気がする」と書かれ、id:shidho氏が「元ネタでなくこっちの方は学校で習う解説そのままなので、正直それでわからなかった人にはやっぱりわからないと思う。」と書かれている通り、高校までの英文法学習での説明からそれほど外れるものではないと思う*1

で、考えるのが「高校の英文法の参考書を読み直してみたらいいんじゃないか」ということ。大きめの参考書なら小飼氏の「固有名詞にはtheをつけない」といった点についても詳細な説明がある。あまりに簡単なものでは役に立たないだろうが、詳しい解説のある大きめの参考書ならけっこう役に立つのではないだろうか。これは英語に限ったことではないと思う(数学だけは微妙かも知れない)。

英文法なら、私は

  • 江川泰一郎『英文法解説』(金子書房)1785円

がお気に入りで、たまに文法的事象で分からないところがあるととりあえず開いてみる。いかにもという感じのオーソドックスな英文法の参考書で、古くさく感じるかも知れないが意外に分かりやすい。

あと、前のエントリで紹介したpdfで触れられていた、

  • 墺タカユキ・石黒昭博『総合英語Forest』(桐原書店)607頁、1523円

を衝動買いしてきたのだが、これもなかなか良さそうな感じだ。こちらには限定詞の解説もあって、『英文法解説』よりもやや野心的という印象。レベル的には『解説』より易しめだが、たとえば名詞の章の冒頭「これが基本」の副題が「数えられるか,数えられないか」で、

一般に辞書などには「数えられる」「数えられない」という区別が書いてあるが,実際には「数えないと使えない」「数えてはいけない」というような強制的な規則だと思っていたほうがいい。
墺タカユキ・石黒昭博『総合英語Forest』
という説明があり、ポイントをしっかりおさえた解説がなされているように思う。

冠詞の章の「これが基本」もなかなか面白い。

冠詞とは,単純に名詞の前に“つける”ものではない。むしろ,名詞の前に置くことによって,続く名詞がどのような性質を持つものか予告する働きをもつ。言ってみれば,a/anやtheは,性質別に名詞を入れておく「入れ物」のようなものだ。
墺タカユキ・石黒昭博『総合英語Forest』
こういう説明は、自分が高校生の頃には見たことがなかったように思う。マーク・ピーターセンが『日本人の英語』(岩波新書)で説明していたこと*2にも通ずる解説だ。

もちろん自信のある人は専門的な文法書や冠詞の解説書を読んでもいいだろうが、学習参考書には「安い」というメリットがある。実際、上に挙げた参考書には価格も書いておいたので、どちらもかなり安価なのが分かると思う。とくに『総合英語Forest』の方は、イラストも多く、カラー印刷600頁以上で1523円。これは高校までの学習参考書ならではの価格だろう。

なんだか宣伝臭くなってきたのでこのへんでやめておくが、しっかり作られた学習参考書を読むと意外な発見がある*3。たまには読み返してみるのもよいのではないだろうか。

*1:「codeなにがし」の方は独創的だと思う。

*2:氏は、冠詞を「付ける」というのはネイティブの感覚からするとどうにも奇妙だという指摘をしている。

*3:高校生のころよりも知恵がついたことと、なにより多少なりとも英文を読んできたことが効いているのだろう。